日本の夏の平均気温は年々上昇傾向にあり、最近では6月頃から熱中症にかかることもめずらしくありません。熱中症対策として、テレビや雑誌などでもよくおすすめされているのが「経口補水液」。スポーツドリンクと混同されがちですが、その特徴や飲むべきタイミングは異なります。今回SUKU×SUKU(スクスク)は、公認スポーツ栄養士である上原さんのブログに注目!熱中症になる前に知っておきたい「経口補水液」と「スポーツドリンク」の違いやおすすめの飲み方について紹介します。
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目次
水分補給なら、水やお茶でも十分では?と思う方もいるかもしれません。しかし上原さんは、日常生活や軽い運動時なら水やお茶でよくても、真夏の激しい運動時や大量の汗をかいたときには、あまりおすすめできないと仰います。
上原さん
大量の汗をかいたときは、水分だけではなく塩分も失われています。このときに、水やお茶で水分補給しても塩分は不足したままなので、体液が薄まってしまうのです。
すると体は余分な水分を外に出そうするので、さらに脱水症状が進んでしまいます。
経口補水液やスポーツドリンクなら、水分だけではなく塩分も補えます。脱水状態を促進させないためにも、大量に汗をかいたら水やお茶で水分補給するのは避けたほうがよさそうですね。
撮影:SUKU×SUKU編集部
経口補水液は、体から失われた水分に加え、塩分(ナトリウム)やカリウムをはじめとする「電解質」を補う飲み物です。スポーツドリンクよりも早く体に吸収されるため、激しい発汗や重度の脱水症状のときに飲むことが推奨されています。
味の特徴としては、スポーツドリンクに比べて糖質が少なく塩分が高いため、あまりおいしさは感じられないかもしれません。
スポーツドリンクは、水分や電解質に加えてエネルギーも補える飲み物です。経口補水液に比べて、電解質が少なく糖質を多く含みます。スポーツドリンクに含まれる糖質の量は、商品によってさまざまです。
上原さん
水分を吸収するスピードは、糖質の量で変わります。水分補給が最優先なら、糖質濃度が4~8%程度のスポーツドリンクを選びましょう。
ただしその場合は、十分な糖質補給が難しくなります。マラソンなど1時間以上の持久性運動をする場合は、エネルギーをさらに補給できる別のものを用意しておきましょう。
経口補水液を飲むのにおすすめのタイミングは、大量の汗をかいたときだと上原さんは仰います。
上原さん
経口補水液は、水分と一緒に塩分やカリウムが大量に失われたときに摂取するのがおすすめです。
・炎天下で大量に汗をかいたとき
・1時間以上運動して汗を流したとき
・汗がダラダラ流れて止まらないとき
上記のような状況に陥ったら、飲むようにしましょう。
運動で汗をかいたとき以外にも、発熱や下痢、嘔吐などで大量の水分が失われることもありますよね。そのようなときにも、経口補水液はおすすめされています。一気に飲むと体に負担がかかるため、体調不良のときは少しずつ飲みましょう。
激しい運動をしたり大量の汗をかいていなくても経口補水液が必要な場合があると、上原さんはブログ内で説明しています。
上原さん
梅雨時期など体が暑さに慣れていないとき、人間は塩分濃度の高い汗をかきます。
このような場合は、大量に汗をかいていなくても熱中症や脱水症状を防ぐために、塩分濃度の高い経口補水液で水分補給をしておくのがよいでしょう。
体を暑さに順応させることを「暑熱馴化(しょねつじゅんか)」と言います。
何もしなくても体は暑さに慣れていきますが、日頃からジョギングや筋トレなど運動をして汗をかく習慣があれば、梅雨時期でもすでに暑熱馴化された体になっているのだそう。
上原さん
日頃から運動習慣がある人は、すでに体温調節機能が上がり汗の塩分濃度が下がっている状態です。
よって、梅雨時期であっても水分や塩分などの喪失で発症する「脱水症」や「熱中症」のリスクが低いのです。
暑熱馴化できていない人は同じ暑さの中で運動しても失われる塩分が多く、脱水症や熱中症になりやすいと上原さんは仰います。
熱中症リスクを軽減させるためにも、梅雨前あたりから毎日30分程度の運動を習慣にして暑熱馴化を済ませておくとよいですね。
上原さん曰く、スポーツドリンクは比較的軽めの汗をかいたときに摂取するのがよいそうです。
上原さん
たとえば、以下のような状況のときです。
・1時間以上の運動をしてもあまり汗をかいていないとき
・1時間以内の運動だが汗をかいたとき(運動後の体重が運動前と比べて、2%以上減ったときを除く。2%以上の体重減少があるときは経口補水液。)
・冬場で汗は少ないものの1時間以上運動したとき
汗の量が少ないときは、経口補水液ではなくスポーツドリンクでの水分補給でも大丈夫ですよ。
家にあるからと言って、お茶や水の代わりに経口補水液を飲むことはあまりおすすめできません。その理由は、経口補水液に含まれる塩分が関係しています。
上原さん
500mlの経口補水液には、梅干し1個分程度の塩分が含まれています。そのため食事が十分にとれていて脱水していないときに飲むと、塩分過多になってしまうのです。
熱中症対策になるからと、汗をかいたり運動したりしていないときに経口補水液を飲むのはやめておきましょう。
撮影:SUKU×SUKU編集部
夜中の急な発熱時など、必要なときに経口補水液が家にない!という場合もありますよね。そのようなときのために、上原さんは経口補水液の簡単な作り方を紹介しています。
上原さん
〈基本のレシピ〉
・水1リットル
・食塩3グラム
・砂糖40グラム
レモン汁を加えると、さっぱりした味になりますよ!
市販のものに比べると電解質などは十分に含まれていないため、あくまでも応急的に使うのがおすすめだそうです。いざというときのために、覚えておくとよいですね。
大人と比べると、子どもは運動量が多く汗をかきやすいもの。体調に異変があってもうまく説明できない場合もあり、熱中症にかかる確率は高くなりがちです。暑い季節も元気に過ごせるように、水分補給の方法には十分注意してあげてくださいね。
今回、取材にご協力いただいた上原寛恵さんの詳細は以下のリンクからご覧ください。
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