今回習い事スクスクでは、ボクシングの現WBA世界バンタム級王者、そして世界3階級制覇王者でもある井上尚弥選手を筆頭に、これまで多くの世界王者を輩出している大橋ボクシングジムに取材してきました。しかも今回は大橋ボクシングジムの会長にして、ご自身も現役時代はWBC・WBA世界ストロー級の元王者でもある大橋秀行会長みずから、キッズボクシングについてとっても分かりやすく解説してくれました♪(2019.3.26公開記事)
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目次
突然ですが皆さんは「ボクシング」と聞くとどのようなイメージを持っていますか?
「痛そう」「怖そう」と思う方や
「ストイックで男くさい」
そんな風に思っているママが多いかと思います。
結論から言うと、そのイメージはちょっと「古い」かもしれません!
(実は編集部も同じようなイメージで訪れたのですが笑)
実際に取材で訪れてみると、そこにはイメージとはまったく異なる光景がありました。
今回SUKU×SUKU編集部がお話を伺ったのは、数多くの有名選手を輩出しており歴代最強と謳われている井上尚弥選手も所属しているボクシングの名門、大橋ボクシングジムです!
「ボクシングは自分で考えながら動く”頭と体を使ったチェス”なんですよ」
そう語ってくださったのは、元WBC・WBA世界ストロー級王者、大橋ボクシングジム代表の大橋秀行会長です!
――大橋会長、本日はよろしくお願いします!
大橋会長「よろしくお願いします!」
子どもたちの練習を見守る大橋会長。とても気さくに語ってくれました。
――キッズコースを拝見しました!イメージと違って、体幹を鍛える基本練習から始まり、上半身以上に下半身もフルに使った3分間のプログラムはかなりのメリハリがありました。
大橋会長「ボクシングはパンチだけだと思ったでしょう?実は違うんですよ。しっかりと足腰を使って動きながら正確に避けてパンチを当てないといけない。だからこそ下半身を鍛えるんです。」
練習前はワイワイしていた子どもたちも、真剣な眼差しで話を聞いています。
大橋ボクシングジムではたくさんの子どもがボクシングを楽しんでいます
大橋会長「キッズコースでは、3分間のプログラムを7ラウンド消化します。ラウンド毎のインターバルは40秒あるのですが、結構キツイです(笑)。3分間の中では瞬発的に頭と体をフルに使う必要があり、40秒のインターバルではしっかりと呼吸を整えてから、次のプログラムに移るので、自然とメリハリが身につくようになっているんです。」
次に子どもたちは、ボードに表示されるボタンを押すビジョントレーニング*を始めました。
福田トレーナーによると、このトレーニングでは周辺視野を鍛えることはもちろん、一瞬の判断力を養うために子どもたちにやってもらっているのだそう!
*ビジョントレーニング:視機能の向上を目的として、専用のトレーニングボードを使った練習。あのロンドンオリンピック金メダリストの村田諒太選手もトレーニングに取り入れているようです。
大橋会長がキッズコースの為に購入したビジョントレーニングボード
細板の上で平衡感覚を養うトレーニング
そしてまた別の場所では一風変わったトレーニングをしています。子どもたちが細長い木の板の上を、目を閉じたり、手を動かしながら前後に歩を進めています。
ビジョントレーニング同様に、子どもたちが楽しめる工夫が随所に詰まってます。ちなみにこのトレーニングは、元WBA世界スーパーフライ級王者の飯田 覚士さんがジムに来られた際に教えてもらった内容だとか。
優しさと厳しさが絶妙なバランスの福田トレーナー
――楽しい練習と苦しい練習の中で、子どもたちが「考えながら」動いているのが分かります。
大橋会長「そうですね。ボクシングはサンドバッグを叩くにしても、どのポジションに体を置いて、どの角度からパンチを打てば目標に最短で届くのか、その瞬間ごとに考えながら動くことが重要なんですよ」
――「殴る、殴られる」なんて単純なものではないんですね!五感をフルに活用することで、子どもにとっては出来た時の達成感も大きいと思います。
大橋会長「達成感はものすごく大きいと思いますよ!子どもたちが自分で経験して、考えて行動して達成したことというのは将来もずっと身になってくれますよね。」
――ちなみに2020年の教育改革では「生きる力を育む」なんてことが言われていますが、これからの時代にこそ、ボクシングから得られることが多いような気がします。
大橋会長「ボクシングというのは、腕力だけの不良じゃ勝てないんです。逆に頭でっかちでもダメで、頭と体をきちんと使って主体的に練習に励む人でなければ勝てないスポーツなんです。まぁスポーツ全般そうかもしれませんが。ただ間違いなく、ボクシングを真摯に継続することで「生きる力」は身につくと思います。」
――とはいえ、やはり多くのママさんがボクシングのイメージとして思っていることは…
大橋会長「(間を置かず)『痛い』『怖い』『危なそう』だよね(笑)。だからこそそういった方でも始められるエアボクシング*を作ったんです。」
*エアボクシング:対戦相手との接触がないボクシング。対戦相手との間にフラフープを置き、攻防技術やスピード・スタミナなどパフォーマンス力を競うスポーツ。大橋会長がより多くの人にボクシングを気軽に楽しんでもらいたいとの想いから発足し、現在では子どもから60歳以上の大人まで多くの人が参加している。
「フィットネス感覚ではじめられるんです」とエアボクシングを語る大橋会長
――エアボクシングは大橋会長が提唱され、現在では後楽園ホールで大会が開催されるまでになりましたが、実際に生でエアボクシングを見ると「イメージする力」が求められるのかと。
大橋会長「相手がそこにいることでイメージする力は必要になりますね。うちにいるチャンピオンの子なんかは、まるで本当に相手がダメージを受けているように攻撃するし、本当に攻撃を交わしているように下半身を上手に使いますからイメージする力というのはとても鍛えられると思いますよ。」
対戦相手との間にフープを挟むため、接触することはありません。
実際にエアボクシングのチャンピオンの子を見ると、下半身の使い方やパンチなど、動きはボクシングと同様で、まるで本当に打ち合いをしているかのような多彩なパンチを繰り出していました。
それでもパンチが「当たる」ことはないので、前述の各トレーニングも含めて、お子さんにボクシングを習わせたいと検討しているパパママさんには、ボクシングならではのハードルが一気にクリアされると思います!
エアボクシングはボクシング協会に加盟しているジムで行うことができます。
ぜひお近くのボクシング協会加盟のジムへ体験に行ってみてください♪
老若男女問わず楽しめるので女の子同士でも安全にボクシングができます
――前述のエアボクシングとは別に、キッズボクシング*がありますが、実はその第一回大会チャンピオンが井上尚弥選手なんですよね!
大橋会長「そうなんです。やっとキッズボクシングから成功のカタチと言えるような井上尚弥や田中恒成なんかが出てきて、着実に成果として実になってきています。」
*キッズボクシング:前述のエアボクシングとは別に、子ども同士で行う接触のあるボクシングのこと
出典:Instagram 井上尚弥選手と大橋会長
――これからの子どもたちにとって大きな目標や憧れになっていますよね!
大橋会長「『井上尚弥になりたい!』って思う子どもたちにも最高の舞台でボクシングをしてもらいたいと思います。だからこそ、後楽園ホールという大きな舞台を子どもたちに用意したんですよ。」
2018エアマスター後楽園 U-12チャンピオンベルト
大橋ボクシングジムでは女の子もボクシングを楽しんでいます。
正直、女の子はいないんじゃないかなと思っていましたが、その考えは古かったようです…!
トレーナーとミット打ちの練習中です
女の子でも安心してボクシングが楽しめます
編集部がエアボクシングをやっていた女の子のママにインタビューをしました!
――娘さんがボクシングジムに通い始めたきっかけを教えてください
ママ「もともと大橋ボクシングジムに知り合いが通っていて、それがきっかけで2年前に娘も『通いたい!』となって(笑)。」
――ボクシングをはじめて(娘さんに)何か変化はありましたか?
ママ「親としてはこの2年間で強さだけじゃなく、礼儀も身に付けてくれて、何よりもジムの子たち同士の仲が本当に良いので入会して良かったと思います。あと・・最近は嫌なニュースもよく目にするようになったので、自分の身をしっかり守れるようするのも大事だと思っています。」
――娘さん、すごく集中しながらもボクシングを楽しんでいましたよね
ママ「本人は中学生なので学校では陸上部に入ってるんですが、よっぽどボクシングが好きなのか、高校生になったら毎日通いたい!って言ってます(笑)」
楽しみながら礼儀や強さが身に着けることができるというのはいいことですよね!ありがとうございました!
ボクシングに詳しくないママさんも、冒頭に出てきた歴代最強と謳われる井上尚弥選手やロンドンオリンピック金メダリストで元WBA世界ミドル級王者の村田涼太選手、そして元WBC世界バンタム級王者の山中慎介さんなど、近年大活躍している世界王者たちは、すっごく強いのにとても穏やかで物腰がやわらかいことは、テレビなどを通してご存知の方も多いのではないかと思います。
子どもたちが持つエネルギーをポジティブに発散させ、時に痛みを知り、仲間と一緒に励まし合ったり切磋琢磨していくことは、将来的な人間形成にも大きく影響してくると取材を通して実感しました!
出典:Instagram 強くて優しい井上尚弥選手は、子どもたちにとってのヒーローなんです♪
セコンドにも仲間がついてサポート!
――最後にボクシングを通して子どもたちに一番伝えたいことを教えてください。
大橋会長「『ラスト30秒を忘れるな』ですかね。ボクシングの練習でも試合でも、ラスト30秒ってもの凄く苦しいんですよ。でもその苦しみって必ず終わりが来るんですよね。たとえ、どんなに苦しいことがあったとしても『必ずその苦しみには終わりがあるんだ』ってこと、ラスト30秒の感覚を思い出してほしいですね。実は、自分が苦しいと感じているその瞬間こそ、一番自分のタメになっているんです。だからこそ、子どもたちにはラスト30秒を思い出して乗り越えていってもらいたいですね。」
現役当時のお話をしてくださる大橋会長
ラスト30秒!苦しくても最後までやりきっています!
――ありがとうございます!子どもたちがボクシングから得られた経験は、これからの人生を生き抜くうえでも貴重な財産になりますね!本日はお忙しい中本当にありがとうございました!
大橋会長「ありがとうございました!」
子どもたちもトレーナーの皆さんに挨拶をして練習はおしまいです!
今日も充実した表情でパパと帰宅♪
冒頭でも触れましたが、今回は取材を通してボクシングのイメージがガラッと変わりました。
キッズボクシングを習い事にすることで得られる効果はとても大きく、現代の子どもたちに合わせて様々なことが配慮されていることも印象的でした。
そんな環境の中で練習をしている子どもたちの表情は一様にキラキラしていて、少し羨ましくもありました。
そして大橋会長との取材で今でも耳に残るのは「その後の人生においては、勝ったことよりも負けたことの方が大きな糧になっている」というフレーズです。
当時「最強」と言われた選手にも、真向から勝負をされていた大橋会長らしい言葉だなと感じました。
きっと子どもたちの人生においても「超えられそうもない高い壁」はたくさん出てくると思いますが、その「乗り越え方」がキッズボクシングの中にたくさん散りばめられている気がしました。
なにしろ、その圧倒的な強さから「The Monster」と形容される井上尚弥というスーパーヒーローも、キッズボクシングの頃から一つずつ壁を乗り越えて証明し続けているわけですから、今日取材をした子どもたちの中からも「未来の井上尚弥」が出てきたとしても何ら不思議ではないわけです。
接触のないトレーニングや、エアボクシングのような試合もありますので、一度お近くのジムで体験してみるのはいかがでしょうか♪
※本記事は、2019年3月時点のインタビューに基づいたものです。
※記事内で登場した選手の階級やタイトルは2019年3月時点のものです。
当記事の情報は記事の公開日もしくは最終更新日時点の情報となります
1965年生まれ、神奈川県出身。現役時はヨネクラジムに所属し、戦績は24戦19勝(12KO)5敗。1985年にデビューし、1RKO勝ち。「150年に1人の天才」といわれ、軽量級ばなれした強打者ぶりを発揮した。1990年2月、WBC世界ストロー級チャンピオン、1992年2月、WBA世界ストロー級チャンピオンとなる。引退後、大橋ボクシングジムを開設し、地元、横浜で後進の指導に当たっている。 テレビ中継など、ボクシング解説でも活躍中。現在、日本プロボクシング協会会長、東日本ボクシング協会会長に就任し、子どもたちへのボクシングの普及活動や後進の育成に力を入れている。