運動系の習い事では、挨拶を始め、試合中の掛け声など大きな声を出す機会がよくあります。しかし大人しくて引っ込み思案な子どもは、人前だと緊張してしまい、なかなか声が出せないことも。とくに習い事初心者のお子さんにはよくあるケースです。
今回スクスクで紹介するのは、長野県でスポーツ少年団と中学剣友会の指導をする藤本綾芽先生のブログ。子どものやる気を引き出すコツについて「自然にレベルアップできる環境作り」と「否定しない声かけ」が大切、と藤本先生はブログで語っています。
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目次
剣道において大きな声を出すことは、打撃力に良い影響があり、重要とされています。
しかし、なかには恥ずかしくて、大きな声が出せないお子さんもいるそう。藤本先生の剣道チームに所属するAちゃんも初心者でおとなしく、声のボリュームは小さめ。Aちゃんが大きな声を出せるように、藤本先生は自らが指導する「チームあやめ」の子どもたちにこんな声かけをしました。
藤本先生
よ〜し!今日は寒いし、最初の挨拶→打つ→最後の挨拶まで全部めっちゃ大きい声でいこか!誰が一番大きいかなぁ?
藤本先生は、Aちゃん個人に大きな声を出すよう促すのではなく、チーム全員に声かけをしてAちゃんが自然に大きな声を出せるようにしたそうです。
藤本先生
「チームあやめ」は元気すぎる低学年が主体です。後ろではお父さんお母さんが見ているので、こんな感じで言えば「ボクが1番だ!」「お父さん見てろよ!」と言わんばかりに、みんな大きな声を出して頑張ってくれるんです!
そしてAちゃんが声を出す順番は、注目が集まりプレッシャーのかかりやすい最初や最後ではなく、真ん中あたりに配置した藤本先生。
藤本先生
要は「恥ずかしがらずに声を出せてしまう環境」を作っちゃうってことです。全体の発声を大きくすることで、おとなしいAちゃんの声を無理なく自然に、いつもより大きくする作戦です。
実際、Aちゃんの声は他の子どもたちと比べるとまだまだ小さめだそう。しかし周りと比較するのではなく、Aちゃん自身の成長をゆっくり見守ってあげることが大切、と藤本先生はおっしゃいます。
藤本先生
大きな声を出すことに対する「恥ずかしい気持ち」に勝ち、さらに「抵抗」をなくすのはこれまでの自分の性格を変えるということ。本人にとってはかなりの勇気が必要ですし、こちらはそれを理解した上で粘り強く見ていく必要があります。
周囲と比べてどうなのか?ではなく、その子自身の変化や成長を見るようにしています。
親としては、やる気を出してほしいがために「〇〇ちゃんはもっと練習しているよ!」など、つい他の子と比べる言い方をしてしまうこともあるかと思います。まずは子どもの小さな成長に注目することが大切、と藤本先生。
また、子どもは大人たちが何気なく言ったささいな言葉を、大人が想像する以上に重くとらえていたり、いつまでも覚えていることがあります。うっかり放った言葉が、子どものやる気を大きく左右してしまう場合も。
藤本先生
周りができているのに自分だけできなかったり、試合で1位になれなかったときは大人が思う以上に落ち込んだり、自信をなくすお子さんがいます。
そんなときは私がどんな声かけをしたか、そのあとのお子さんの様子はどんな感じだったかを保護者の方にお伝えし、おうちでのフォローをお願いしています。
藤本先生は相手に合わせて柔軟に声かけを変えている、とブログ内でも説明しています。実際おうちで子どもへ声かけする場合、どのような点に注意したらよいのでしょうか。
学生時代、年間1000試合をこなし全国選抜での優勝実績を持つ藤本先生。
当時の練習では、試合中に足が動いていない場合「足が動いてない!」ではなく「動かすよ!」と否定しない声かけを習慣にしていたそう。
藤本先生
生徒たちが常に前向きに、小さく成長していけるようになるべく肯定の指導を心がけています。剣道を通じて人として成長し、いつの日か「剣道をやっていてよかった」と思ってもらえたら嬉しいです。
声かけする側も、否定的な言葉より肯定的な言葉をかけるほうが気持ちいいですよね。ちょっとした言い回しを工夫するだけで、子どもの自尊心が保たれ、なにごとにも前向きに取り組めるのかもしれません。
子どものやる気を引き出すために、周りと比べずその子自身の成長に目を向けることは、他のスポーツや勉強においても大切かもしれません。
うまくいかないときでも前向きな言葉をかけられると、子どもはうれしく、楽しい気持ちになります。藤本先生いわく「楽しいと自主的にやる」、「楽しいと上達が早い」そうです!
子どもの力が最大限に発揮できるように「前向きな声かけ」を、おうちでもぜひ試してみてくださいね。
今回、取材にご協力いただいた藤本 綾芽先生の詳細は以下のリンクからご覧ください。
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