今回習い事スクスクでは、子どもの習い事ランキングで常に上位のピアノにフォーカス!日本一ピアノの習い事事情に詳しい一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(通称:ピティナ)に取材してきました!「ピアノは子どもの習い事としては『バランス栄養食』なんです」と語るのは、ピティナ専務理事の福田成康さん。今回は子どものピアノ教育についてとっても詳しく解説していただきました♪
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目次
ピアノといえば習い事ランキングでも常に上位に入る、人気の習い事ですよね♪
「ピアノは脳科学的に良い」「ピアノさえやっておけば良い!」とテレビなどで言われていることをご存知の方も多いのではないでしょうか。
でも実際にピアノ教室へ通い始めるとなると…
「ピアノって子どもにとってどう良いの?」
「習い事を始める時にピアノは買わないといけないの?」
なんて疑問を持っているママも多いかと思います。
今回SUKU×SUKU編集部は日本一ピアノの習い事事情に詳しい方々に疑問をぶつけちゃいました!
こちらはピティナの会報誌。ピアノ指導者や、ピアノ学習者の保護者など約16,200名の会員に配布されます。
会報誌では、コンクールや「ステップ」と呼ばれるアドバイス付きの公開ステージなどのレポートも掲載。
今回編集部がお話を伺ったのは、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(通称:ピティナ)です!
実はピティナは、1966年から現在まで、ピアノ教室の指導者やピアノの学習者などを中心に、ピアノ教室の紹介やコンサートを開催するなど幅広い活動を行っている協会なんです。
そんな協会の専務理事が直々に、子どものピアノ教育についてとっても詳しく解説してくれました♪
ピアノの魅力を存分に語ってくださったのは、ピティナ専務理事、福田成康さんです!
――福田さん、本日はよろしくお願いします!
福田さん「よろしくお願いします!」
――ピアノは習い事ランキングで常に上位に入っているほど人気ですが、昨今テレビでたびたび言われている「ピアノは脳科学的に良い」というのは、正直なところ「本当に?」と思う部分があります。ピティナとしては、ピアノのどういったところが子どもの脳の発達に良いと考えていますか?
福田さん「一番のポイントは『楽譜を読む』ことにあります。楽譜を読むことを『読譜』といいますが、楽譜をパっと見てすぐにピアノを弾けるようにするために必要なことです。ピアノは、目で譜面を先読みしながら脳で理解し、両手で違う指を動かしながら弾くため、子どもの脳の発達に良い影響を及ぼすといわれています」
――何歳くらいから読譜ができるようになるのでしょうか?
福田さん「だいたい小学校1、2年生で徹底的に読譜をします。ただ、音読はできるけど楽譜を見たらすぐに弾けるかというとそうじゃない子どもが多いんです。楽譜を読みながら弾けるようにすることが重要です」
脳科学者として多数のメディアに出演し、全国的に知られる澤口俊之さん(人間性脳科学研究所所長、武蔵野学院大学・大学院教授)は、「人生の成功に関係する全ての基礎がピアノで高められる」と解説しています。
澤口氏によると、幼少期にピアノを弾くことでHQ(人間性知能)が向上し、問題解決能力・社会性・創造性など、人間らしい生活を送るために必要な能力が向上するといいます。
HQとは、人間性知能(Humanity Quotient)のことを言い、学習塾・英会話・習字・スポーツ系など、ほとんどの習い事においてHQはほぼ変わりませんが、ピアノだけ突出して高いのだそうです。
福田さんに解説していただいた、楽譜を読みながらピアノを弾くことについても澤口氏は以下のように言及しています。
おそらく、ピアノは両手で微妙に違う指の動きができることと、譜面を先読みして覚えて後追いしながら弾くことが主な理由だと考えられます。片手で弾くピアニカに同じような効果はなく、両手の動きが全く違うヴァイオリンにはまだ明確な証拠がありません。
――ピアノを弾くというのは、瞬間的に譜面を記憶しながら左右で違う指の動きをしていますし、考えてみればとても高度なことをやっていますよね
福田さん「最近思うことは、ピアノというのは子どもの教育的に全ての要素が詰まっているので、一言でいうと『バランス栄養食』だと感じています。たとえば、論理的な点は数学ともかなり近いですし、左右の指を使うため脳の発達にも効果的です。また、人とのアンサンブルでは社会性、編曲をすることでの創造性、さらにはステージで一人演奏することでの度胸も身に付きます。ピアノを弾くだけでさまざまな効果が期待できるんです。卵を食べておけばいいみたいな感じですよ(笑)」
提供ピティナ:絶対音感を持つことでIQ(知能指数)が向上するとも言われています
――ピアノ=バランス栄養食、とっても分かりやすいです(笑)では、強いてピアノに足りない部分をあげるとするならば、どういった部分でしょうか?
福田さん「強いて挙げるなら、身体的な部分です。どうしても筋力の発達はスポーツに比べると劣ってしまいますね。しかしメンタル的にはスポーツととても近い部分もあるんですよ」
――ピアノがスポーツに近い、というと?
福田さん「想像してみてください、例えば自分がコンクールに出たとしますよね。客席には審査員がいて、多くの観客がいます。ステージには自分一人、自分がピアノを弾かなければ一音も出ないですし、一音も間違えないように、日ごろの練習の成果を発揮して、良い演奏をしなければならないのです。どうでしょう、ものすごく緊張しますよね?こういった緊張感というのは、スポーツだとサッカーのPKに近いですね。」
提供ピティナ:ステージ横からの様子。緊張から小さくなって固まってしまう子も…。
――想像しただけで、手汗がすごいです…。なるほど、一音も間違えられないと…
福田さん「子どもにとってコンクールはとても緊張しますが、良い経験です。コンクールの審査には、編曲と原曲の2種類の審査があります。編曲は比較的簡単で、コンクールに近くなっていくと予定していた曲からどんどん楽譜を削っていくことができるんです。逆にピアノの原曲(クラシック)の何が難しいかというと、すでに曲が決まっていて、しかも古今東西みんなが知っている曲なので、1音も間違えることができないっていうプレッシャーの中で演奏するんです。しかも『間違えたからもう一度』なんてことはできないわけですから、すさまじい緊張感があります。」
提供ピティナ:一音も間違えられない緊張感は子どもにとって、とても大きな経験になります
――社会人でもなかなか経験しないような緊張感ですよね
福田さん「社会人になってもなかなかないですよね。実際のコンクールでは、順番を待っている子どもたちがステージ横にいるんですが、緊張からか小さくなって固まっているんです。それなのにステージに出ると堂々と前を向いておじぎをしてピアノを弾き始める。この一瞬のステージにかける”気迫”に大人でも圧倒されます。演奏した後には、スッキリした笑顔や悔しい顔、泣き顔でクシャクシャになってしまう子など、見せてくれる顔はさまざまですが、子どもたちにとって得難い経験であることは間違いないですね。だからこそ、ピアノをやっていてコンクールに出ない子どもたちは勿体ないなぁと思ってしまいますね。コンクールまで行ってくれたら、本当のピアノの価値がわかりますから、ピアノをやった子はコンクールに出てほしいですね!」
ここからは、ピアノ教室の講師やピアノの習い事を検討している親子を日々サポートしている有門さんにお話を伺いました!
――有門さんは多くのピアノ教室を検討しているママパパを日々サポートしていると伺いましたが、全国のママパパからはどういったご相談が多く寄せられますか?
有門さん「みなさんが1番ハードルが高いなと考えるところは楽器の準備ですね。ピアノに関しては、今は、10万円以下の手ごろなお値段の電子ピアノから販売されていますので、ご予算と設置場所に応じて、先生に相談して決められるので良いと思います。ただし、習う前に必ず必要かというとそんなことはないですし『キーボードくらいなら貸し出すよ』という教室もあるので、まずは気軽に先生やピティナへ相談してほしいですね」
――費用としては正直もっと高価なのかなと思っていました。親心としてはピアノを準備してあげたいという気持ちがありますが、躊躇してしまうところでもあるので。ちなみにスペースの問題としてはそこまで場所をとるものではないのでしょうか?
有門さん「グランドピアノは別ですが、アップライトピアノや電子ピアノは皆さんが思っているほど場所はとりませんよ。ピティナへご相談くださる方の中には『今スグ楽器を買う予定はないけど、ゆくゆくは買おうかな』という方も多くいるので、安心してほしいと思います。やはりピアノ教室へ通っていくうちに子どものタメにきちんとしたピアノを用意してあげたくなると思うので、その時には先生やピティナへ相談してくれれば予算やお子さんのレベルに合ったピアノを探すこともできますよ」
――ありがとうございます!すぐに楽器を準備しなければピアノ教室へ通うことができないのかな?なんて思っていたので、安心しました!
――教育業界の大きなニュースとして「2020年教育改革」があります。これは今後訪れるグローバル化、そしてAI(人工知能)が発達する社会の中で、子どもたち自身で問題を解決し乗り越えることができるよう、生き抜く力を養いましょうという狙いがあると感じているのですが、音楽教育から見て2020年教育改革をどのように捉えていますか?
福田さん「いま、教育現場で話題になっている最新の教育方法に『STEAM教育*』というものがあるのですが、これが何かというと『目の前の問題を解決する力や今までにないモノを生みだす力を育む』教育方法のことです。この考え方は、2020年教育改革において文部科学省が考えているあるべき姿と近いのではないかと思います。STEAM教育の中には、Art(芸術)が入っていて発想力や表現力の向上を期待してSTEAM教育の一部であると考えています。ピアノも芸術ですから、ピアノを行うことで、それらの能力に加えて論理的思考力の向上、ひいては生き抜く力を育むことができるでしょうね」
STEAM教育:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語で、これら5つの領域を重視する教育方針のこと。2020年教育改革で大きな注目を集めることになったプログラミング教育もこの一部である。
――では、今後どのようにピアノ教室などの教育現場が変化してくると考えていますか?
福田さん「これは私の望みでもあるのですが、今後は幼稚園や小学校の現場に音楽専任の教員が増えてくると嬉しいですね。実はいま、小学校の音楽の授業がなくなってしまう可能性が出てきているんです。現在の小中学校の音楽授業の割合ですが、小学1年生では全授業のうち8%、中学校では3%が音楽の授業なんです。中学生になって科目が増えるため、音楽授業の比率が低くなることは恐らく正しいことだと思います。しかし、幼稚園や小学校低学年での音楽教育は、その重要性が増すにもかかわらず、授業割合の高い小学校には音楽の専任教員はおらず、逆に割合の低い中学校には専任教員が配置されているという現状をどうにかしたいと考えています。」
提供ピティナ:幼稚園や小学校低学年での音楽教育は、記憶力・語学力が向上するといわれている
――これは小学校の教員不足が原因なのでしょうか?
福田さん「そうですね、小学校の教員採用はどの地域でも課題になっていて、熊本県に至っては教員志願者を増やすために採用試験に課していた音楽や体育の実技を廃止したんです。人材不足が影響して、子どもたちへの質の高い音楽教育の場が少なくなることを懸念しています。」
――たしかに、人材不足は全国規模での大きな課題で、それによって子どもたちへ影響が出ることは問題ですね
福田さん「私たちもいよいよこの現状はマズイだろうと思い、全国でピアノ教室を運営されている何万人というピアノ講師を小学校へ派遣して、学校で質の高い音楽の授業ができる仕組みを作りたいと考えています。」
――ピアノ講師の派遣はとても良い試みなのではないでしょうか!私たちも近い将来、小学校の教育現場が変わってくることを楽しみにしています!
提供:ピティナ
――最後に、音楽教育を通して子どもたちに一番伝えたいことを教えてください。
福田さん「私の立場で言うのもおかしな話なんですが、ピアノや音楽以外でもいいので、熱中できるものを見つけて夢中になりながら続けていってほしいなと思います。子どもたちにとって熱中できるものがピアノであればとても嬉しいですね。」
――ありがとうございます!「ピアノ以外でも熱中できるものならそれで良い」というフレーズが、音楽教育の現場にあって子どもたちの成長を俯瞰して見守りつづけてきた福田さんらしい言葉だなと感じました!本日はお忙しい中本当にありがとうございました!
福田さん「ありがとうございました!」
正直、今回お話を聞くまで「ピアノは脳科学的に良い」ということに対して、具体的にどこがどう良いのか少し曖昧でした。
しかし、福田さんから、ピアノが子どもにとって効果的である理由を論理的、且つ丁寧に説明していただいたため、お話を聞いていくうちにどんどん腹落ちしていくのが実感できました。
「ピアノ教室などの教育現場は以前に比べ、より高品質の授業を求められるようになった」と福田さんは語ります。
「とりあえず曲が弾けるようになれば良い」という時代から、さまざまなコンクールなどの舞台を通して、子どもたちが楽しめる「表現の場」が増えてきています。
コンサートで上位入賞をするためには、曲が制作された時代背景や作曲者の感情、そして作曲に至るまでの経緯など、ただ楽譜を見ただけでは読み解けない背景も教育現場では教える必要があるのだとか。
「ピアノ教室の講師も日々勉強しています。その講師の教育を受けて子どもたちが人として成長してくれることを願っています。ピアノは一生モノになりますからね」と笑顔で語る福田さんから、全国のピアノの教育現場をより良い環境にしていくのだという強い想いを感じました。
ピアノの習い事は、思っていたよりも費用がかからずに始めることができるのでぜひ一度お近くのピアノ教室を探してみてくださいね♪
ピアノの習い事についての相談はピティナWEBサイトから!
1964年生まれ。筑波大学生物学類卒業、栗田工業(株)で3年間勤務し、1989年4月から株式会社東音企画入社、1990年4月に同社代表取締役社長就任。1991年4月より社団法人全日本ピアノ指導者協会の事務責任者として経営に関わり、現在は専務理事。1996年、日経BP社より情報システム大賞の準グランプリ受賞。2001年、第3回「フジタ未来経営賞」を受賞。2002年、財団法人商工総合研究所 中小企業懸賞論文 準賞受賞。2011年 文部科学省 社会教育功労者表彰受賞
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2019年現在 武蔵野学院大学教授。専門は神経科学、認知神経科学、霊長類学。理学博士。
脳科学者の澤口氏が、ピアノを弾くことで子どもの脳の関係性や、語学力の向上をテレビ番組内で紹介したことによりピアノが注目されるきっかけとなった。
著書に「幼児教育と脳」「学力と社会力を伸ばす脳教育」「夢をかなえる脳」「やる気脳を育てる」など多数。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」等、多数のTV番組に出演。